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2015年7月20日 (月)

小泉武夫著『絶倫食』を読んで

著者の小泉さんは醸造学の権威であり、またユーモアのある語り口で著書も多数あり、私もこれまで何冊か読ませてもらいました。

集英社元編集者の島地氏が7月に絶倫食パーティーを開くにあたり日経BPサイトにて記事を寄せているところに本書について触れられており、単行本を中古にて購入してみました。

一般的に絶倫食と聞くと中国の皇帝が食べていそうな手に入りにくい動物植物であったり、現在でもとても高価な食品を連想しますが(もちろん、タツノオトシゴやナマコなどそういうアイテムには言及されていますが)、身近な食品にも「絶倫作用」があり、現在までで分かっている有効成分等を説明して解説してくれます。

「絶倫成分」を私なりにいくつかに分類してみますと以下のようになります。

(1) ホルモン系
ハーレムを形成するオットセイの睾丸から抽出した強壮剤の例のような、男性ホルモン・テストステロンを増強するもの。また中国明の時代に作られた少年の尿から作った「秋石」の話がとても面白い。作り方としては、童貞の少年の尿を集め成分を沈殿させ、テストステロン、成長ホルモン、その他有効なミネラルを含む石膏状の塊に仕上げる。逆に女性の尿を飲んでしまうと黄体ホルモンを体内に入れることになってしまい、女っぽくなってしまうとのこと。

(2) 血流を増大させる系統
血管拡張作用のある動植物由来のもの。身近な食品ですとチョコレートなど。子供の頃誰でも食べすぎると鼻血が出ると言われたと思います。現在では合成された成分で同じ機能を提供する薬剤がありますが、長い歴史の中で天然成分からこれらを見つけた先人の知恵は偉大だと思います。欧米で鶏を全部煮込んだチキンスープ、韓国の参鶏湯など日本では滋養の面から語られることが多いですが、彼方のカップルにしてみれば一戦交える前の強壮剤のようなものなのでしょう。またコトに及ばないにしても、これらの血管拡張作用のある食べ物は女性の冷え症解消に役立ち積極的に摂るべきだと思いました。

(3) 造精作用を促すもの
海の牡蠣等セックスミネラルである亜鉛を含む食品は多々ありますが、例えば痔の治療にも使われるイチジクは、白い汁を患部に塗ったり食して血流を良くするだけでなく、亜鉛を多く含み、また乾燥させたものを食べると効率良くミネラルが摂れるという正にパーフェクトフルーツ、夜のフルーツなのだと思いました。また、DNAの材料になる亜鉛そのものだけでなく、ネバネバ成分ムチンを含むとろろ芋やナメコなど昔の人が精がつくと食べていたものなど、いまの科学でが造精を助ける作用があることが分かっていますが、昔の人がその外見からの類似性だけでそう言っていたのではなく長い間のトライアンドエラーによって伝承が残ってきたのではと畏敬の念すら覚えます。もうひとつ類似性からの類推について、キノコ類の驚くべきパワーについても本書で触れられています。

(4) タンパク質・糖質の合成・吸収を助ける成分
造精作用を考えると、ただ単に亜鉛と補助物質があれば良いというわけではなく、タンパク質を合成し糖を利用しやすくする必要があり、タコに含まれるタウリン、あと材料となるアルギニンなど特に高価な食品というわけでなく、スルメなど干した海産物に多く含まれているなど、普段食べている食品に対しても多くの気づきを与えてくれました。

まとめ的なことを書きますと、著者は絶倫という観点で食べ物とその作用を説明していますが、なにもそれに関わらず健康に生きていくためのヒントが多く散りばめられていると思います。

冬虫夏草、スッポン、ニンニクなど我々がすでにそういう作用があると認識している食品だけでなく、著者の専門の発酵食品を含み身近な食品にも「絶倫」作用があるのを気づかせてくれた点で良書だと思います。また、著者が実際に食べて効果があったものに対してその夜の反応等記しており、小泉さんのユーモアと誠実さを感じました。



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